日々の気付きと時々、振り返り

しがないセールスエンジニアが日々考えてることをまとめたもの。

藤田晋氏に学ぶ、創業時の営業の在り方

藤田晋さんの『渋谷ではたらく社長の告白』を読み直していて、本当に共感というか、すごく大事だなと思った部分があったので書いてみようと思います。

 

渋谷ではたらく社長の告白 (幻冬舎文庫)

渋谷ではたらく社長の告白 (幻冬舎文庫)

 

 

まずは、引用です。当時は サイバーエージェントを設立したて。藤田さんが創業間もないころからアポをばかばか取る一方で、他の創業メンバーはまだそれほどアポを取る力を養えていない時の話です。そんな当時、藤田さんは他のメンバーに営業を教えるために以下のことを伝えました。

 

 「いいか。余計なことを話すな。相手がわからないことを言っていたら、黙ってうなずいて、時折相手が話していることを繰り返して『---ですよね?』とか、『それはつまり---という意味ですね。』とか言うんだ。あとはメモして持って帰って来い。いいな」

 さらに、私はこう言いました。

ウェブマネー以外にも、我々の事業のネタになることがあるかも知れない。何を聞かれても『できない』て即答しちゃだめだ。持ち帰ってできるようになればいいんだよ。」

 こうも言いました。

「難しいコンピュータに関する言葉が出てきたらできるだけメモをとってきて。帰ったらみんなで勉強しよう。」

 

1.余計なことを話すな。持ち帰れ。

これ、ものすごく大切なことなんですよね。

創業時って、ブランドもなければ、実績もなくて、相手の信用を勝ち取るのがすごく難しい時期なんです。だから、少なくとも商談の最中や、もちろんその後の対応でも、相手に微塵の不安も抱かせてはいけません。少しでも不安を抱かせたら最後、いくら商品やサービスが良くても「胡散臭い」の一言で取引が成立しないなんてこと、ザラにあります。だからこそ、自分の言動に細心の注意を払い、たとえわからないことがあってもわからない素振りを見せず、相手に不安を与えるような挙動は一切とってはいけないんです。要は、最終的に相手の期待に見合った商品を納品すればいいわけで、商談の場で多少不誠実に振る舞おうが、それが最終的に双方の利益になるのであれば、下手に正直になる必要はないんです。決して、今のまま、あるがままの自分を伝えようとしてはいけず、将来の、より成長した自分を伝える必要があります。それでも、難しそうだと判断した場合には、それを正直に伝え、期待値を調整したり、自分たちに手伝える範囲に業務を噛み砕いたり、適当な措置をとる必要があります。やはり本質的には誠実であることが何より重要で、それを超えた虚偽は、ただの嘘になってしまいます。相手と信頼関係を築くのが何よりも大切なんです。

 

2.「できない」と即答するな。持ち帰れ。

これは1点目に近いのですが、商談の場に臨むと時折、「◯◯君、こういうのできない?」という相談を受ける場合があります。このような場合は概して、通常のサービス内容にはないものを提示される場合が多いのですが、--通常のサービス内容に盛り込まれていればわざわざ相談しない--それを即座に「できない」と切り捨ててはいけないのです。これは創業時によくあることなのですが、創業時というのはとにかく案件を受注したいという気持ちと、まだ創業したてでサービス内容が固まりきっていなく、本当に顧客ニーズにあった商品なのか自信が持てないという事情があり、こうした相談はむしろありがたいことで、そこから新たな取引につながる可能性がある、重要なきっかけになるんです。ここまで読んで、「そりゃそうだろ。そんなチャンスを逃すのはあり得ない。」と思われた方もいるかもしれません。その感覚は正しいと思います。ただ、創業時の状態というのは、まだまだ社員も未熟で、その業界に対する知識やスキルが備わりきっておらず、本当の意味で自信が持てる状態とは程遠いところからスタートします。それに、これはテクニック論的になりますが、仕事を始めたての頃は、その場の対応で案件が取れるわけがなく、ある程度話す内容を決めて商談に臨むため、急な提案をむしろ嫌がるケースが多いんです。要は、台本通りやらせてくれと。下手なアドリブをいれないでくれと。それが時に味のある舞台につながるかもしれないのに。なので、創業当時というのは、自信もなければ、柔軟な対応力もなく、そうしたプラスαの提案に対して必要以上に臆病になってしまう場合もある、ということなんです。だからこそ、藤田さんも敢えて皆に伝えたわけですね。「すみません、そうした内容は弊社サービスにはないもので…」と言ってみすみすチャンスを逃さないために。なので、何度も言うようですが、一旦は持ち帰って、適度に期待値調整しながら、逆にそれができるようになるためには何が必要なのかということを考えなければいけません。というより、それをしないと事業の成功はありません。等身大のままで成功するなら苦労しないので。だから、営業の場では、ひとまず断らない。そして、当初予定していた目標は着実に達成する。この2つを盛り込みながら、徐々に会社を発展させていければいいのではないかと思います。

 

3.帰って皆で勉強しよう

ここまで書いてきた通りですが、創業時、等身大のままでは何も売れないんです。思いっきり背伸びをして、ハリボテで固めて、なんとか案件を勝ち得て、最終的には実現してしまう。決して顧客には迷惑をかけてはいけませんので、最終的な納期までにはなんとかものになるものを仕上げる。こういう姿勢で自分をストレッチしながら走り抜けていく。これが創業時の営業の在り方、そして、働き方なのではないかと思います。

 

最後に、

久しぶりに自分が起業した当時のことを思い出してみて、懐かしい気持ちになりました。僕は比較的営業が好きで、というのも商談の会話というのは無駄がなく、非常にロジカルに進むので、こうした新しい提案に対していかに応えるかということを考えるのが好きな人間でした。もっと、藤田さんのように、売れる人間になって、ビジネスを拡大できるような人間になりたいなぁと思います。

 

ではでは。