スタンフォードMBA学生に聞いた、シリコンバレーで起業が多い理由
先日、スタンフォードMBA在学で、2つのサービスをローンチした学生と話す機会があった。彼に聞いた話がなかなか興味深かったので、会話の内容を、会話形式でそのまま書いてみようと思う。
シリコンバレーの起業環境について
ぼ:シリコンバレーでは起業が多いと聞くけど、本当に多いの?
ス:基本的にみんな何かしらのビジネスを自分で始めるよ。
ぼ:え、そうなの!?就職する人はいないの?
ス:んー、いるけど、それでもスタートアップとかVCばっかりだよ。
ぼ:彼らは何を求めてるの?
ス:お金だね。
ぼ:でも、日本でそう考える人は大企業に就職するんだよ
ス:大企業って言ったって、2,3000万円とかそこらだろ?そんなの成功したうちに入らないよ
ぼ:なるほど。でも、リスクは怖くないの?
ス:そら、怖いさ。でも、一回くらいの失敗なら、なぜ失敗したのか、そこから何を学んだのか話せればそれで面接を落とす人はいないんじゃない?だから、リスクって実はそれほどないんじゃない?お金がなくなるくらい?
ス:むしろ、なんで日本人はそんなにリスクを恐れるんだい?
ぼ:日本には新卒一括採用というシステムがあったりして、一度ルートから外れると新卒でも中途でも復帰が難しかったりするんだ。後は、世の中の雰囲気とかかな。
ス:へー。でも、大学受験もそうだけど、すごくリスキーなシステムを採用するよね。一度しかチャンスがないし、難関校を併願できないんだろ?
ぼ:そうだね。確かに。言われてみればすごくリスキーかも。でも、そしたら、大企業には誰が就職するんだろう?
ス:知らない。"Boring people(つまらない奴ら)"じゃない?
日本企業の海外進出について
ぼ:日本企業は海外進出がすごく苦手だと言われてるんだ。なんでだと思う?
ス:IT業界で言えば、アメリカの市場に進出するのは難しいね。競争度が桁違いだから。日本でサービスがヒットしたら、同じようなサービスを行っている企業が5社はいる感じだね。だから、アメリカ市場への進出は難しいと思うよ。かといって、アメリカ市場から始めるのも得策じゃないしね。
ぼ:でも、日本市場は1億人しかいないから、本当に成功するためには世界市場を相手にしないといけないんだ。その点はどう思う?
ス:韓国から始めたら?市場が似てるし、産業構造も似てるだろ。アメリカは、少し異質すぎるんじゃないかな。
ぼ:じゃあ、日本企業のアメリカ進出は難しいのかな。
ス:日本が進んでる領域とかは狙い目かもしれないね。例えば、携帯電話のメッセンジャーアプリとか。あれってアメリカにはまだないんだ。未だにSMSが基本だからね。アメリカの市場がその段階に移行したら、日本企業にも勝機があるんじゃない?
ぼ:なるほど。もし、自分が海外進出を考えるならどこに進出する?
ス:アメリカ、日本、イギリス。ここは外せないだろうね。そして、ドイツ。次に中国かな。
ぼ:それは規模が大きいから?
ス:そうだね。市場規模も大きいし、市場に癖がない。フランスとかは、新しいものを受け付けなかったり、市場に癖があって、進出しづらいよね。
インタビュー後記
他にも様々話したのだが、少し散発的になるので、比較的まとまりのある部分まで。ただ、なぜかわからないが、スタンフォードMBAでは起業が普通であり、大企業就職はダサい所業だと思われている。そして、同じ事業の失敗でも、単なる経験として受け取るか、人生の汚点として受け取るか、解釈に違いが生まれるのも面白い。もしかしたら、起業のリスクなんてないのかもしれない。初めの内はローリスク・ハイリターン、かも。後、アメリカ人は、ある意味すごい目標が高くて、あくなき欲求を満たすために、ベンチャーキャピタルというスキームが生み出された。そういう側面もあるのかもしれない。そんなことを話していて思わされた。
ではでは。