日々の気付きと時々、振り返り

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東大推薦入試、僕は結構好きですけどね。

東大が後期入試の、推薦入試化を決めた。

欲しいのは超高校生級?…東大、推薦入試の概要 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

 

正式な概要は以下の通り。

東京大学の学部入試方法の変更について

概要書類: http://bit.ly/1fmbDtb

 

僕の周りには反対の意見が多いけど、僕は密かに賛成している。

東大は明らかに一つの線を描いて変わろうとしているからだ。

 

以前、国立2次試験廃止に関するエントリを書いた。

国公立二次試験廃止はそこまで忌避すべきものだろうか。 - 日々の気付きと時々、振り返り

 

東大にとって国立2次試験廃止は、東大改革の序章に過ぎなかったわけだ。

 

今、教育界には1つの大きな流れがある。

それが主体性、そして、創造性を重んじる教育。詰め込み型教育からの脱却だ。その証拠に、国際的な学力テストPISAも、それを評価できる評価項目になっている。日本でも佐藤学 (教育学者) - Wikipediaを初め、その手法について盛んに議論されてきた。

 

そして、この流れに、社会的な背景も加担している。

高度経済成長期の学習・模倣の時代から創造・発展の時代に産業界は移ろうとしており、教育界もその流れに追随しようとしている。本来既に移行していてしかるべきだが、依然として日本は対応できていなかった。そうした産業界の要請もあり、教育手法・教育制度自体が大きな転換を迫られている。国立2次試験廃止、後期試験推薦入試化はこの流れの上に位置付けられる。

 

しかし、それ以上に--ここからは私見になるが--社会的に許容されるキャリアが複線化されたことが、今回の隠れた、けれども、重大な貢献ではないだろうか。つまり、学校に足繁く通い、真面目に受験勉強し、大学に合格した人以外にも、学外に飛び出し、挑戦の場を見つけ、成果を残した人も評価される環境、社会的なレールに乗る環境が整った。科目の世界に没入するのではなく、学外の社会に直接飛び込み、リアルな課題を発見し、解決する能力。そうした素養がある人はむしろ貴重なのだが、既存の入試制度では彼らを拾えなかった。だからこそ、今回の改革には意義がある。学校だけが若者の世界ではない、それを日本の最高学府が発信したのだからその意義は大きい。

 

■期待する学生像について(一部抜粋)

そうした意味で、入学試験の得点だけを意識した、視野の狭い受験勉強のみに意を注ぐ人よりも、学校の授業の内外で、自らの興味・関心を生かして幅広く学び、その過程で見出されるに違いない諸問題を関連づける広い視野、あるいは自らの問題意識を掘り下げて追究するための深い洞察力を真剣に獲得しようとする人を東京大学は歓迎します。 

 

■推薦入試の基本方針 (一部抜粋)

東京大学の推薦入試は、学部学生の多様性を促進し、それによって学部教育の更なる活性化を図ることに主眼を置いて実施します。実施に当たっては、日本の中等教育における先進的取組を積極的に評価し、高等学校等の生徒の潜在的多様性を掘り起こすという観点から、日本の高等学校等との連携を重視します。 

 

 

やはり、徐々に、そして、確実に時代は動いているという思いを強くする。その動きに対して、危なげながら、対応しようと努力している人がいる。それを歓迎すべきなんだろうなぁと。そして、自らも主体的に関わり、その建設に力を貸すべきなんだろうと思う。

 

教育という分野は難しい。現代社会において余りに重要な意義を持ちすぎてしまった。余りに長い間、余りに多くの人に影響を与える権利・機会を歴史的に与えられてしまった。だからこそ、常に検証・洗練される必要があるのだろう。そのようなことを、今回の一連の騒動を通じて、思った。

 

ではでは。