起業について
ここ最近、起業家やベンチャー投資家に会う機会が多かったので、そこで感じたことを備忘録的に記しておきます。
ビジネスプランは案外思いつく(かもしれない)
初めに断っておきますが、起業はとても難しいことです。ただ、自分がイメージしていた難しさと現実の難しさに、複数の起業家、起業家予備軍の方と話しながら、ギャップも感じたので、その辺りを書いていきます。
その一つがビジネスプランへの抵抗感です。ビジネスプランを思いつくこと自体は、そこまで難しくないのかもしれないと感じる機会が多くありました。正確には完璧なビジネスプランを求めすぎている人が多い印象です。
初めのビジネスアイデアは、案外思いつきでも問題ありません。常識的な問題を解決する方法は既にビジネスアイデアになっています。例えば、なんでクリーニング屋はサラリーマンが利用するのに、勤務時間しか営業していないの?とか、なんでもいいと思います。
ただ、その思いつきを根気強く修正して、収益のあがるビジネスプランにする必要はあります。その環境は実は結構多いんですよね。投資家の勉強会とかがいい例です。
そこでプレゼンすることで多くの人のフィードバックを受けながら、そのフィードバックに応え続けてプランは徐々に磨かれていきます。
また、誰もが弊害を感じるのに改善されない問題は、必ずと言っていいほどその背景に難しい問題を抱えています。例えば、クリーニング屋の例だと、オンライン営業を開始し、営業時間外の宅配サービスを行うと、配送中に服にシワができるなど、クレームが増えすぎて、対応出来なくなってしまうそうです。この問題に粘り強く取り組み続けてソリューションを生む必要があります。ここがとても難しいですよね。
ちなみに、この問題を乗り越えたのがリネットという会社です。
[参考記事]
ネットが変えるリアルビジネスーーネット宅配クリーニング「リネット」がジャフコから3億円調達
アイデアは(ほぼ必ず)変わる
次に、初めに考えついたアイデアはほぼ変わるようです。実際に運用してみると解決不可能な問題が生じたり、驚くほど市場にニーズがなく、マネタイズできなかったり、方向転換を余儀なくされるケースが多いみたいです。
しかし、それは決して悪いことではなくて、今成功している起業家も同じ道を辿っています。
(参考 → Paul Graham:How To Get Start Up Ideas )
アイデアは変わる前提で、大切なのことは、早く形にして、顧客の声を聞き、修正に次ぐ修正を行うことです。(この辺りはこの本に詳しいです。)
リーン・スタートアップ ―ムダのない起業プロセスでイノベーションを生みだす
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最後はコミット --覚悟と責任--
これが一番強く感じたことですが、最後はどれだけ明確なヴィジョンを持って、情熱を維持しながらコミットし続けられるかが鍵になると思います。
ヴィジョン(あるべき姿のイメージ)があれば、現状と照らしあわせて何が足りないか考えることが出来ます。ただ、有効な打開策を生み出すためには考え続けることが重要で、そのためには、熱い情熱を保ち続けることが求められます。
経営者は孤独ですし、起業時には困難も多いです。少ないリソース、ほとんどない信用、足元を見られることも多いです。また、経営とは関係のない問題も実はかなり多く生じます。人間関係の調整、自身のプライベートの状況の変化。そのすべてが自らの責任になるので、負荷は想像以上に大きいです。これら困難に折れない強い精神力が必要となってくるわけです。
最後に、
以上の話はあくまで私見ということを断っておきます。現在利益をあげている起業家、投資家、過去の起業家の事例、起業研究の文献に触れて一人の人間が主観的に捉えた内容です。そのため、厳密性に欠けるかもしれませんが、少しでも参考になれば嬉しいと思っています。
日本ではなかなか起業家が増えないと聞きますが、少しずつ環境が整ってきている印象も受けます。起業やベンチャー投資経験がある人が増えていますし、勉強会、meet upも、アメリカほどではありませんが、増えてきています。
少しでも起業が身近に感じられる世の中になればなぁ、なんて思っています。
ではでは。