日々の気付きと時々、振り返り

しがないセールスエンジニアが日々考えてることをまとめたもの。

日本のベンチャーキャピタルシステムの課題

ここ数日、日米のベンチャーキャピタルについて思いを巡らせてきたが、その結果感じたこととして、今の日本のベンチャー界隈の課題は以下の3つである。

 

ベンチャーキャピタルの機関化

・それに伴うシリーズBの投資の拡充

・成功モデルの創出

 

 

ベンチャーキャピタルの機関化

まず初めに、アメリカのベンチャーキャピタルの歴史を確認すると、初めはロックフェラーなどの個人単位の家族型投資から始まった。その後、世界初のベンチャーキャピタルであるADRが生まれ、SBICの失敗があり、アメリカ西海岸のADRの成功にかこつけた。その後、リミテッド・パートナーズというベンチャーキャピタル用の投資スキームが完成し、ERISA法の改正が見られ、年金等の機関投資家が参入することによって、ベンチャーキャピタルは個人事業から産業への変貌を遂げた。

 

翻って、日本のベンチャーキャピタル界隈に目を向けると、未だ投資スキーム(LPI)は未熟で、年金を初めとした機関投資家が本格的に参入する気配はない。というより、未だ法制度の改革が進んでいないため、投資したくても投資できないのが今の日本の機関投資に現状である。そのため、適切なタイミングで機関投資家ベンチャーキャピタル事業に呼びこむことで日本のベンチャー周りを一気に活性化させられる可能性がある。

 

シリーズB投資の拡充

日本のベンチャーの特徴として、シード期、シリーズAまではなんとか乗り越えられるものの、シリーズBを迎えられる企業が極めて少ない。これはシードアクセラレーターやそれ伴う投資スキームがシリーズAまでは比較的整備されているものの、シリーズBになった途端、通常の投資スキームと変わらなくなり、難易度が上がることに原因がある。特に、この点は、前述の機関投資家が参入していないことがクリアに響いていて、機関投資家が参入し、資金量が増加することで解決できる部分もある。他にも、日本市場の規模上の限界という問題もある。日本の総人口が1億人、アメリカの総人口が3億人。単純に数で負けている上、シリーズB以降の投資を受けようと思うと、やはり収益性とそれを支える規模感が重要になる。その際、日本国内だけに目を向けていると、不可能とまでは言わないが、投資を受けるに値するだけの収益を生み出しにくいことは事実である。そして、なぜか日本の諸企業は海外展開を苦手としている。この国内市場から国際市場への越境に成功しない限り、本格的な成功は難しい、というのが最近のネットベンチャーの現状である。

 

成功モデルの創出

ただ、なんだかんだ言って、日本のベンチャーキャピタル周りの環境は整備されつつあるし、今後の改革も、基本的には時間の問題だと考えている。というのも、ここで述べられていることは、多くの専門化にとっては周知の事実なので、言われなくてもその方向性に向けて動いている人達がいると考えられるためである。それより問題なのは、やはりベンチャーに挑戦しよう、ベンチャーを助けようとする人の絶対数が圧倒的に足りていないことである。その背景には、流動性の低い労働市場、新卒学生の大手志向、日本大企業の終身雇用、といった要素が絡むことも事実だが、それ以上にgoogleappleのような、誰もが異論なく成功しているといえるような、ロールモデルとなる成功事例が存在しないことが大きいのではないかと思う。簡単にいえば、全然憧れないし、具体的な成功事例がないから何をすればいいのかわからないのである。だからこそ、もしかしたら今の日本のベンチャー産業を発展させるためには、既存の企業、ソフトバンク楽天サイバーエージェントを、世界に名だたる企業に押し上げることが必要なのかもしれない。流石にそれは暴論だが、そういった側面もあるのではないかと、比較的真面目に考えている。

 

最後に

色々と調べて感じたことは、日本の起業環境は、少なくとも最近ではそこまで厳しくはない、ということ。そして、更なる発展のためにはいくつかポイントがあり、その中でも一番大きいのは成功モデルの不在とそれに伴うベンチャー人口の少なさなのではないか、ということである。今後より細かな点を調べて、最終的な行動プランに落としこんでいこうと思う。

 

 

ではでは。