日々の気付きと時々、振り返り

しがないセールスエンジニアが日々考えてることをまとめたもの。

自分の頭で考えること --スタンフォード大学のスタートアップ投資に寄せて--

今回は以下の本を参考に少しスタイルを変えてエントリを書いてみようと思います。

自分のアタマで考えよう

自分のアタマで考えよう

 

この本は有名ブロガーであるちきりんが書かれた本です。ちきりんのブログでは幅広い分野の問題が扱われ、その鋭い洞察から月間100万PV(ページビュー)を獲得する程の人気を誇っています。実際のブログはこちらを参考にしてみてください。(→Chikirinの日記)

 

ちきりんのブログは僕もよく読ませていただいていて、僕がこのブログを開設したきっかけの一つにもなっています。そんなちきりんの著作を読み、「自分のアタマで考えよう」というメッセージを受け取ったので、今回は以下の記事を題材に実践してみようと思います。

 

Stanford University Is Going To Invest In Student Startups Like A VC Firm | TechCrunch
(日本語記事はまだ無いようですね。一旦、こちらの記事を参考にしてもらえればと思います。)

 

 

「自分のアタマで考える」とは?

ちきりんの言う自分のアタマで考えるとは、知識に頼らず先入観を抜きにして考えることをいいます。例えば、本書の中では野球観戦人口の年齢構成比が高齢者に偏っているデータがサンプルとしてあげられているのですが、そのデータを見た日本人のAさんは、すぐに日本が高齢化しつつあるという「知識」と結びつけてマイナスのイメージを抱いてしまいます。一方、留学生のBさんはそのデータを見て資金的に余裕がある高齢者層が野球ファンのメイン層になるのでより多くの収益が見込めるはずだと、知識に頼らずに考え、プラスに受け止めました。この例で言えばどちらが正しいかは別にして、Bさんのようなゼロベース、かつ、バランス感のある思考法をちきりんは推奨しています。

 

通常エントリを書く時には、書きたい内容が浮かんだ後に下調べを行ってから文章にしていきます。しかし、このやり方では記事の大枠が出来た段階と下調べの段階の間に十分な思考時間が取れていないため、なかなかユニークな洞察を提供することは出来ません。

 

そのため、今回のエントリでは可能な限り下調べを少なくして自分の頭で考える割合を増やすように取り組んでみました。誤認確率が上がるのでリスクもあるやり方ですが、自らの視点を持ってエントリの質を向上させるために実践してみようと思っています。

 

スタンフォード大学が学内スタートアップに投資した意味

結論から言えば、スタンフォード大学が学内のスタートアップに初めて投資したことによって大学発スタートアップ投資とも言う新たな投資スタイルが誕生したと考えています。

 

大学発スタートアップ投資の特徴は以下の3点です。

・世界トップクラスの大学の持つ信用力

・学内の生徒が起業家(投資対象)になるため情報が豊富

・学内に各分野の第一人者がいるので専門的事業内容も理解可能

 

上2つの特徴についてはあまり説明も必要ないと思います。起業家にとしてはスタンフォード大学が後ろ盾につくことで信用力が担保されますし、他の投資家にとっても企業価値を判断する有効なシグナリングを手にすることが出来ます。また、通常投資家は投資対象の企業経営者について過去に遡って生の情報を手にすることは難しいですが、大学の場合は指導教官や学内の友人などから多様な情報を入手することが出来、投資判断に役立てることが出来ます。この両者が共に大学発スタートアップ投資の強みになってきます。

 

加えて、大学が投資主体になることで技術先行の専門的な事業内容について十分な理解の上で投資を行うことが可能になります。個人投資家や機関投資家は自身が得意とする専門領域を持っていますが、すべての分野をカバーすることは出来ません。そのため、事業内容を十分に理解しないまま、事業計画に書かれた数字や経営者自身、そして、経営者からの説明によって投資判断をすることになります。その点、大学には様々な分野の第一人者が所属しているので事業内容を十分理解することが可能です。この技術領域における知見も大きな強みになっていきます。

 

日本(東大)の場合

このような動きを日本、特に東大で実施することは難しいと考えています。なぜなら、東大は国立大学であるためアイビー・リーグ程の資金力がないためです。例えば、アメリカで一番年間予算が大きいハーバード大学は日本円にして4兆円近い予算がありますが、東大は約2500億円しかないため投資資金に大きな差が生まれています。ですので、そのままアメリカの手法を取り入れようとしてもなかなか難しいのではないかと考えています。

 

東大の道

個人的には東大には東大の道とも言える独自路線が用意されていると考えています。それが基礎研究など長期的な投資が必要な事業を担う企業の創出です。

 

東大は国立大学なので民間企業から広く資金を集めることができませんが、逆に言えば市場からの圧力を受けずに済むということでもあります。加えて、最近では産学連携への取り組みも盛んで、UTECなど東大所属のシーズ投資機関が存在しています。UTECからの投資を受けた有名な例にミドリムシで知られるユーグレナなどがあったりします。

 

このような投資機関を外部化して資金調達やスタートアップ投資の専門機関として育て上げることで、大学内で生み出された新たな技術をうまく市場に乗せる役割を担ってもらえる可能性があります。市場から切り離された大学内では、短期的には何に使えるのかわからない、純粋な好奇心による研究成果を蓄積させていきながらその成果の蓄積具合をモニターしてすくい上げる役割をUTECのような東大発の投資機関が担うことが出来れば東大にしか出せない独自の価値を生み出すことができると考えています。

 

最後に、

このニュースを聞いた時にはとても興奮しました。シリコンバレー発祥の大学がついに直々にスタートアップ投資を手がけ始めたのかと。自ら生み出したエコシステムを取り込み、進化しようとしているその姿にわくわくしてしまいました。 

 

一方で、悔しさを覚えたのも事実です。またアメリカに先を越されてしまったという思いがありました。だからこそ、日本、特に東大との比較という要素を取り入れてエントリを書いてみたつもりです。

 

さてさて、出来るだけ「自分のアタマ」を使って書いてみた今回のエントリはいかがだったでしょうか?情報量が少ない分少し物足りない印象があるのでその辺りも含めて今後も徐々に改良を加えていこうと思います。また、誤りなどがありました際は優しくお声がけいただければと思っています。

それではこの辺で。

 

ではでは。