日々の気付きと時々、振り返り

しがないセールスエンジニアが日々考えてることをまとめたもの。

孫正義の凄さ --起業家ではなく、事業家として--

最近急にばたついてきて更新の時間が取れなくなっていました。すみません。気を取り直して少しずつ書いて行こうと思います。今日は起業のあるべき姿について。最近、起業、転職、やりたいこと、この辺りが人々の話題に登ることが多いですが、流石に既に流行に堕している感があり、なぜこうも始める人は偉大で、それに続く幾ばくかは、その品質が落ちてしまうのかと、それはそれで不思議なのですが、それはそれとして、こうした起業や転職といった、強い自我、意志に基づいた行動が賛美される傾向が、最近の雰囲気かと思います。しかし、それらはやはり雰囲気の産物でして、中にはファッションでやっている人も多いのではないかと--もちろん本人にそのつもりはないのですが--思う機会が度々あります。今回はその辺りも含めて、書いてみたいと思います。

 

孫正義のすごさ

先日ソフトバンク社長、孫正義さんのお話を伺う機会があったのですが、それまで個人的に、孫さんすごいという話を度々聞くが、何がそんなにすごいのだろうかいまいちわからないという印象を抱いており、お話を伺った結果、その疑問に対する答えがなんとなく見つかった次第であります。ここで少しお聞きしたいのですが、じゃあソフトバンクって何をした会社なの?と聞かれた時になんと答えるでしょうか。最近だと、携帯電話、特にiPhoneなんてのが有名ですけど、それだけなんでしょうか。僕はこの辺りの認識され具合に、彼のすごさの一端があるのではないかと思っています。どういうことかといえば、彼の偉業というのは確かに偉業なんですけれども、偉業過ぎて人々の生活に既に浸透してしまい、意識するまでもない、と。そういうことじゃないかと思うのです。
 
一旦整理すると、IT産業というのは初めはハードの世界で、真空管トランジスタだとやっていたわけです。そこからチップの集積率が高まり、CPUの処理速度が加速度的に向上していくわけですね。孫さんというのはこの時代の人間なわけです。ネットとか、そういうものはなく、パーソナルコンピュータというのも存在しません。彼の最初の業績は多言語翻訳装置で、実は今の電子辞書というのは、元は孫さんの発明から始まっております。要は、どれだけ複雑な処理をどれだけ高速に行えるか、これが当時のIT産業、チップの競争力の指標だったわけです。この考えは基本的には変わってないんですけれども、その後、1990年代前半、インターネットというものが生まれます。インターネットというのはそれくらい歴史が浅いものなんです。で、当時一番有名だったのが、Yahoo!、インターネットにつなげば、初めに現れるのがYahoo!のトップページだった時代もあるくらいなので、当時はそれくらいYahoo!が有名でした。しかし、それでも従業員は15人くらいで、このYahoo!合弁会社を作り、日本にインターネットを持ち込んだのが、孫正義、その人なんです。今もありますけど、Yahoo!Japanですね。つまり、日本のインターネットの始祖は孫正義なんです。知ってる人も多いかもしれません。しかし、当時のインターネットは遅かった。圧倒的に。それを改善するために、当時、ナローバンドという方式からブロードバンドに変えようという動きがあった。これがYahoo!BBですね。つまり、孫正義です。そしたら、日本が世界で一番通信速度が早い国になってしまった。通信大国、日本と、そういうことでございます。そして、次はというと、次はPCからモバイルだと。今、PCを通じて見ている画面は、将来的に手の平に収まるだろうと。こういうビジョンを掲げたわけです、孫正義は。そして、これができる人間は世界を探しても一人だけだろうと。それが、スティーブ・ジョブズだったんです。彼は直接スティーブに会いに行きました。そして、当時開発途中だったiPhoneを売ってくれと、日本への独占販売権をくれと。当時、唯一の人間だったらしいです、スティーブに開発途中のiPhoneを問い合わせたのは。そんなもの誰も知る由がないわけですから。ただ、当時、ソフトバンク、モバイル事業やってません。それをスティーブにも指摘されます。ここら辺から徐々に現代に、点と点が線になってつながってきたのではないでしょうか。そこで、孫さんはボーダフォンを買収します。iPhoneを売る。ただ、それだけのために。博打ですよね。当時、買収には2兆円かかったみたいです。それでも、やった。その結果は皆さん、ご存知の通りです。
 
要は、今のIT産業のど真ん中は、全て孫さんがやってると。インターネット、ブロードバンド、モバイル。無駄がないんですね。それ以外の会社は、孫さんが創った土壌の上で、プラスαを繰り広げているんです。もちろんそれも大切ですし、そのためには尋常じゃない努力を必要とするのですが、事実だけ述べればそういうことです。
 

最近の起業ブームを振り返って

つまり、何が言いたいかと言えば、最初の起業志向の若者には、こうしたスケール感が抜けているよね、と。確かに彼は特別なんですが、例えば、Facebookを超えるとか、本当に超える気あるのかと問いかけたくなることも多いですし、じゃあFacebookを超えることが本当に価値があるのかというとそれもわからないわけです。孫さんのようないわゆる事業家が減ってきて、ファッションで起業をする人が増えているのではないか。それ自体は歓迎すべきことなんですが、もう少しこう、気概がある者がいないかと、そう感じるわけです。
 

最後に、

最近の起業ブームに乗っかって、改めて起業ってなんだろう、どういう起業があるべき起業なんだろう、どんな価値を社会に提供すべきなんだろう、そういうところから始めてもいいのではないかなと思った次第です。後、くそ努力。今想定してる何万倍、何十万倍もの努力をしても全然いいと思います。それくらい彼らは圧倒的努力をしてると思いますし、なんというか、それはきっと当然なんですよね。そんな感じで。
 
ではでは。